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  • 執筆者の写真SantilloFrancesco

(2)出会い

僕が、初めてフランコさんと出会ったのは、1991年秋。

僕は捨てられて、一人途方にくれていた。


目だけ光った真っ黒なネコに、誰も振り向かない。

でも、フランコさんは、

まっすぐ歩み寄って僕を抱き、家まで連れていった。

彼は、憧れのイタルデザインに入社したばかりのころだった。


フランコさんは、ジョルジェット・ジュジャーロ(G.G)を

「仕事の父」と呼ぶ。フランコさんのデザイナーとしての

基礎のすべては、G.Gから学んだものだ。


もっと遡れば、カーデザイナーを志したきっかけは、

5歳のときに見たマセラティボーラだ。


僕たちの住むこの家の大家さんは、G.Gの知り合いだ。

ルームメイトの突然の退去で、家賃が払えなくなり、

アパートを退去しなければならなかったフランコさん。


そんな彼をG.Gが救ってくれた。そして、僕も救われた。

彼には、僕が彼自身とダブって見えたのかもしれない。


みんなから、少し距離を置いている黒ネコの僕が。



【家から見たトリノの景色】


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