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執筆者の写真SantilloFrancesco

(5)思い出

乗り物といえば、僕には思い出がある。

フランコさんは、バイクが好きだ。

少しでも操作を誤れば、すぐに転ぶ。


「自分が、バイクをコントロールしている」

という実感が、たまらなく好きなのだそうだ。


僕はといえば、バイクはただうるさいだけ。

ガレージにいると突然、「ドドーンドンドンドン」。

僕は、土日はガレージ近づかなかった。


ある朝、フランコさんはいつも通り、僕の頭を撫でて部屋を出て行った。

もちろん、僕もいつも通り、ガレージへはついて行かなかった。


ところが、フランコさんは、その日も、また次の日も帰ってこなかった。ずーっと、帰ってこなかった。「捨てられたんだ」たまらなく悲しくて、ミキと泣いた。


フランコさんが出て行ってから、3週間がたったある日、エンジン音が聞こえた気がして、テラスへ出てみた。ガレージの前にフランコさんがいた。


僕はそれ以来、バイクのシートを陣取っている。

いつ帰ってくるのか、彼に確認する為に。


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