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執筆者の写真SantilloFrancesco

(6)高校時代

フランコさんは、高校まで、3人の弟たちと共に親元で過ごした。

家から70Kmも離れた工業高校の電気機械科。

デザインには、まったく縁はない。お小遣いはすべて、自動車雑誌に消えた。

絵は、独学で続けた。


南イタリアには、学校はおろか、仕事がない。

働かないのではなく、働くところがないのだ。


産業は、北イタリアに集中している。

スカレアは、その北の人々が夏のバカンスを過ごす別荘地。

そこで生活をしているフランコさんたちには、バカンスはない。

彼が電気機械科を選択したのも、堅実な将来を見据えたためだ、

と周囲は思っていた。

しかしフランコさんは、諦めてはいなかった。


「カーデザイナーになりたい」。

絵を描いていれば「夢で飯が食えるか!地道に働くことを考えろ!」と先生たちに目の敵にされた。味方は、右手に握られている鉛筆1本だけ。


ある日突然、フランコさんは人生の大きな転換期を迎えた。

高校4年を留年した。



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