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執筆者の写真SantilloFrancesco

(7)交通事故


その朝、フランコさんはいつも通り道を走っていた。

愛車モペットで。横から出てきたクルマに撥ねられた。あっさりと。

僕たちネコが起こすアクシデントみたいだ。バンパーと衝突した

大腿骨を骨折。全治3ヶ月。要入院。先生たちに睨まれていた

フランコさんは、事情を考慮されることなく、これまたあっさりと

留年が決まった。


 3ヶ月の入院生活。足がいうことを利かないから、ベッドに

横になっているしかない。出来ることといえば、自動車雑誌を

読みふけることと絵を描くこと。学校の勉強は一切することなく、

3ヵ月後退院し、新しい同級生たちと共に2度目の4年生を迎えた。

でも、授業中はクルマの絵ばかり描いていて、やっぱり先生に

しかられていた。雑誌に載っているカーデザインコンテストには、

すべて応募し、何度か入選した。それだけで嬉しかった。


 友人達が就職を決める中、彼は就職活動をしないまま5年生を

終え、トリノの専門学校に応募した。




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