学校は、新入学をあと1ヶ月に控えた7月だったため、
すでに応募人数を確保していた。
そんな時期の入学希望。「こんな時期に学校に入学しよう
なんて、無知で短絡的な典型的南の田舎者。」
しかし、彼は敢えてこの時期を選んだのだ。
就職活動も一切せず、クルマの絵ばかりを描いて過ごし、
諦めた先生や家族に見向きもされなくなった、
高校卒業後のこの時期に。
他人には、無謀な賭けのように思えるけれど、
フランコさんには、絶対の自信があった。
「その自信がどこからきていたのか、わからないけどね。」
無理矢理、作品を携えて学校へ乗り込んだ。
コンペの入賞作品、今まで描きためていた作品の中から、
より選ったものを提出した。教官はそれらを丹念に見たあと、
1つだけ質問した。「絵はどこで学んだのか。」
小学生のときに1年だけ近くの絵画教室に通った、と答えた。
面談は終了し、スカレアへ戻った。
帰宅して数日後、合格通知が自宅に届いた。
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