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執筆者の写真SantilloFrancesco

(8)受験

学校は、新入学をあと1ヶ月に控えた7月だったため、

すでに応募人数を確保していた。


そんな時期の入学希望。「こんな時期に学校に入学しよう

なんて、無知で短絡的な典型的南の田舎者。」


しかし、彼は敢えてこの時期を選んだのだ。

就職活動も一切せず、クルマの絵ばかりを描いて過ごし、

諦めた先生や家族に見向きもされなくなった、

高校卒業後のこの時期に。


他人には、無謀な賭けのように思えるけれど、

フランコさんには、絶対の自信があった。

「その自信がどこからきていたのか、わからないけどね。」


 無理矢理、作品を携えて学校へ乗り込んだ。

コンペの入賞作品、今まで描きためていた作品の中から、

より選ったものを提出した。教官はそれらを丹念に見たあと、

1つだけ質問した。「絵はどこで学んだのか。」


小学生のときに1年だけ近くの絵画教室に通った、と答えた。

面談は終了し、スカレアへ戻った。

帰宅して数日後、合格通知が自宅に届いた。

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