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執筆者の写真SantilloFrancesco

(9)パパの思い

「ただ証明したかったんだ。夢ではなく、目標なんだ」と。

しかし、実際合格してみると、学校に行きたい気持ちが膨らんだ。

でも、諦めるしかない。入学金や学費、生活費が、パパの年収を

超える高額。卒業しても、確実に仕事に就けるか不透明。

3人の弟。許されるはずはなかった。


「合格通知が届きましたが、息子は御校へ入学できません。」

パパが学校へそう電話している傍らで、フランコさんは

窓から外を眺めていた。パパが受話器を置いた。

「今からトリノのおじさんのところへ電話する。フランコ、

2年間おじさんの家にお世話になれ。」

耳を疑った。目が熱くなった。


 学校はこう言ったそうだ。

「学費はすぐでなくていいですから、フランコを我が校に

預けてください。」好きだった仕事を辞めて、家族を養ってきた

パパの決断。フランコさんは、1987年無事学校へ入学を

果たす。ちょうどそのころテレビが壊れた。

2年間、スカレアの家にはテレビはなかった。

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